格言シリーズ:電通鬼十則と裏十則(4代目社長吉田秀雄氏)

電通鬼十則

日本最大の広告代理店である電通。その電通の4代目社長である吉田秀雄氏が1951年に作成した「電通:鬼十則」は内容こそ記憶していない人も多いかもしれないが、その存在については非常に有名ですね。

その内容もさることながら、電通にはそれ以外にも社員に過去から受け継がれるさまざまな格言があります。今回はその電通に残る格言について紹介していきたいと思います。

 

電通 鬼十則

※2015年12月に発生した新人女性社員の過労自殺を受け、2017年度より社員手帳から記述を削除することが発表された。
  1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
  2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
  3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
  4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
  5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
  6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
  7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
  8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
  9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
  10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

 

 

責任三カ条

この責任三カ条も鬼十則と同様に4代目社長である吉田秀雄氏によって作られたものとされている。

  1. 命令・復命・連絡・報告は、その結果を確認しその効果を把握するまではこれをなした者の責任である。その限度内に於ける責任は断じて回避出来ない。
  2. 一を聞いて十を知り、これを行う叡智と才能がないならば、一を聞いて一を完全に行う注意力と責任感を持たねばならぬ。一を聞いて十を誤る如き者は百害あって一利ない。正に組織活動の癌である。削除せらるべきである。
  3. 我々にとっては、形式的な責任論はもはや一片の価値もない。我々の仕事は突けば血を噴くのだ。我々はその日その日に生命をかけている。

 

 

戦略十訓

この「戦略十訓」は1970年代、電通PRにより提唱されたとされているが、上記の鬼十則や責任三カ条と比較しても、どちらかというと電通営業マンとして売上をあげるために徹底せよ、というニュアンスが感じられる内容となっている。

  1. もっと使わせろ
  2. 捨てさせろ
  3. 無駄使いさせろ
  4. 季節を忘れさせろ
  5. 贈り物をさせろ
  6. 組み合わせで買わせろ
  7. きっかけを投じろ
  8. 流行遅れにさせろ
  9. 気安く買わせろ
  10. 混乱をつくり出せ

 

 

裏十則

ちなみに、電通にいらっしゃった吉田望氏が1988年、経営計画室という部署にいた際に作られた裏十則というものもあるそうです。これは、鬼十則をもとに作成されたそうです。

  1. 仕事は自ら創るな。みんなでつぶされる。
  2. 仕事は先手先手と働きかけていくな。疲れるだけだ。
  3. 大きな仕事と取り組むな。大きな仕事は己に責任ばかりふりかかる。
  4. 難しい仕事を狙うな。これを成し遂げようとしても誰も助けてくれない。
  5. 取り組んだらすぐ放せ。馬鹿にされても放せ、火傷をする前に…。
  6. 周囲を引きずり回すな。引きずっている間に、いつの間にか皆の鼻つまみ者になる。
  7. 計画を持つな。長期の計画を持つと、怒りと苛立ちと、そして空しい失望と倦怠が生まれる。
  8. 自信を持つな。自信を持つから君の仕事は煙たがられ嫌がられ、そしてついには誰からも相手にされなくなる。
  9. 頭は常に全回転。八方に気を配って、一分の真実も語ってはならぬ。ゴマスリとはそのようなものだ。
  10. 摩擦を恐れよ。摩擦はトラブルの母、減点の肥料だ。でないと君は築地のドンキホーテになる。

(出典:吉田望事務所より)