実践から学ぶ!HubSpot導入企業が語るBtoBでのMAの活用法とは?|HubSpot勉強会セミナーレポート

2023年12月15日に株式会社トライエッジ主催のセミナー「MA導入検討企業様向けHubSpot勉強会&交流会」が開催されました。セミナーの前半ではMA、HubSpotに関してのレクチャーを実施し、後半では実際にHubSpotを導入しているラピュタロボティクス株式会社よりマーケティング担当の江口様をお招きし、HubSpotの活用や自社での取り組みに関してのパネルディスカッションを行いました。当日の内容をレポートします。

MAとは、何ができるのか?

MAとはMarketing-Automation (マーケティングオートメーション) の略であり、マーケティング活動を自動化・効率化し、顧客との関係を構築・維持するために使用されるソフトウェアやツールのことです。おもにWebマーケティングにおいて獲得したリード(見込顧客)へのアプローチを自動化するため 、手動で作業を行うよりも効率的に新規顧客を獲得することが可能になります。

MAを導入するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • マーケティング・営業/販売業務の自動化・効率化を実現することができる
  • リードに最適なタイミングでアプローチすることができる
  • マーケティング関連データを一元管理することができる
  • マーケティング施策の結果を自動でレポート化し分析することができる

以前は売り手が一方的に製品情報を送り届ける営業活動が主流でしたが、昨今は購買に当たり買い手自身が見つけた情報や第三者が発信する口コミなどの情報が重視されるようになったため、営業活動では買い手が求める情報を適切なタイミングで提供していくことが必要となりました。適切なアプローチやマーケティング活動を行うために、MAツールは欠かせない存在となっています。

HubSpotとは

HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサービスのためのオールインワンのCRMプラットフォームす。企業がリードを獲得し、関係を築き、顧客へと育成し、維持するために必要なツールと機能が備わっています。

多くの企業がマーケティング、営業、カスタマーサポートで、それぞれ別のツールを利用していますが、HubSpotは各部門がオールインワンでHubSpotを活用し部門を超えて連携することで、優れた顧客体験の提供を実現します。具体的には、未認知層へのアプローチからリード獲得、商談管理、受注後のカスタマーサポートまでを同一のプラットフォームで管理できるため、HubSpotに情報を集約し、会社全体で情報を共有、活用していくことができます。そうすることでカスタマージャーニーを途切れなく一貫してサポートし、スムーズな社内連携と顧客体験の向上を実現することが可能となります。

ラピュタロボティクス×トライエッジ パネルディスカッション

ここからはラピュタロボティクス株式会社の江口様の講演内容をご紹介します。

ラピュタロボティクス株式会社について

ラピュタロボティクス株式会社は2014年にスイスのチューリッヒ工科大学発のスタートアップとして誕生しました。物流現場における課題を解決するロボットソリューションを主な事業としており、ハードウェアとそれを動かすためのソフトウェアの双方を開発しています。本年度はグッドデザイン賞を受賞しております。(ラピュタロボティクス HP

マーケティング組織体制

マーケティングの組織体制として、まずはリードジェネレーションチームがリード獲得の手法として展示会、ウェビナー、広告、SNS等10個以上の施策を走らせています。多くの施策を通して倉庫担当者や物流施設担当者の情報を集めてくるということを実行しています。そして得た情報をHubSpotに一元的に集約させ、そこからインサイドセールスチームが電話やメールでのアプローチを実施し、アポイントメントの獲得、そして初回面談の実施まで行います。その後条件を満たしたものについてはフィールドセールスに渡し、条件を満たさないものはCRMでナーチャリングしていく、というような業務フローを構築しています。

リードジェネレーションは社員だけではなくて、いくつかのベンダーにお手伝いいただきながら施策をまわしています。またインサイドセールスについても実際はもう少し業務を細分化しており、主に3つのチームにわかれて運営しています。

(左がラピュタロボティクス株式会社 江口様、右が弊社COO齊藤)

ラピュタロボティクス株式会社のHubSpot活用法

マーケティングオートメーション

HubSpotを活用したマーケティングオートメーションとして、主に5つのことを実行しています。

1. 顧客情報をHubSpotで一元的に管理

自社ではオフライン・オンライン含めてさまざまな施策を実施しており、施策を行うタイミングも、リードとして入ってくるタイミングや数、質もバラバラです。そういった各施策で得たリード情報は必ずHubSpotに入ってくる仕組みを設けています。例えば、WEBを経由した問い合わせや資料請求に関してはすべてHubSpotのフォームを通じて行いますし、自社ウェビナーなどもHubSpotのフォームを通じて申し込みを行っています。共催でウェビナーを行う際も極力自社のフォームをお渡しして共催先に集客してもらうなど、顧客情報がHubSpotに集約されるようにしています。
こうして集まったリードに対して、マーケティングオートメーションという観点では自動返信を行う、ウェビナー開催前にリマインドメールを送る、参加者にお礼メールを送るというような部分で自動化を行っています。各施策からの情報を管理することでレポートを出せるようにし、各施策でどのくらいの成果が出たのかの可視化を実現させることができました。

2. 顧客との連絡・やりとりはすべてHubSpotを通じて実施

基本的に顧客とのやり取りはすべてHubSpotから行うように統一しています。自社ではGoogle Workspaceを利用しているのですが、インサイドセールスやフィールドセールスなどはメールをHubSpotと連携させていますので、顧客とのやり取りはすべてHubSpotに入ります。また、ウェビナーの案内や動画コンテンツの配信、プレスリリースの案内などもすべてHubSpotから発信を行い、メールの開封やコンテンツの閲覧、ウェビナーの参加などの状況がHubSpot上で見られるように工夫しています。こうすることで顧客とのコミュニケーションをより円滑に行えるようにしています。

3. 新規リードに対するステップメール

自社ではさまざまなチャネルから施策を行っているため、HubSpotに入ってくるリードの業界や役職、興味度合いもかなり幅広くなっています。そこで会社や製品のことをより知ってもらうために、HubSpotのワークフロー機能を活用しステップメールを送っています。会社紹介からはじまり物流業界での課題、さらに自社製品については業界ごとの事例などを説明することで、より知っていただく、興味をお持ちいただくような仕組みを作っています。もちろん、それぞれ途中の過程でも個別にお問い合わせいただけるような導線をもうけています。

4. スコアリングとMQL

自社では、WEBページの閲覧に対してスコアリングを導入しています。そして一定のスコアに達した場合、それをMQLと定義しています。加点については、特定のページを閲覧したか、そして何回ページを見たかということを加点の要素にしています。反対に、明らかにお客様になりづらいコンテンツを見た場合は減点にしています。そして一定のスコアに達した場合、MQLとしてインサイドセールスに渡し、アポイント獲得につなげています。

5. ページ閲覧者をSlackで通知

まだお試し段階で、これから改良していく予定のマーケティングオートメーション施策のひとつではあるのですが、ある程度コミュニケーションが取れている段階で顧客が特定のページを見た場合、その顧客の担当者に対してSlackで通知を行うようにしています。これにより顧客との連絡のタイミングをはかることができないかと考えています。

導入で苦労した点

マーケティングオートメーションの施策導入で苦労した点は3点あります。

まずは全体設計です。HubSpotの導入については3年以上前から行っていたのですが、お恥ずかしい話ほとんど活用できていない状態でした。セールスの一部の人が自分の商談を管理するために使っていたのが実状で、ホームページの問い合わせフォームもHubSpotと連携されていませんでした。2年半前に一気にマーケティングにドライブをかけていくというタイミングが訪れ、トライエッジさんに支援に入っていただきました。もちろん、自分たちはHubSpotの機能や使い方に熟知していなかったので、「展示会や共催ウェビナーをやりたい」「インサイドセールスを立ち上げたい」というような思いをトライエッジさんにお伝えし、それぞれの施策で効果的にリードが流れていくように全体設計をしてもらい、都度修正を行いながら今現在の形にたどりつきました。

2つめは入力の徹底です。HubSpotにデータを集め、顧客とのやり取りもすべてHubSpotに集約させる、ということは関連する人たちがしっかりとHubSpotの使い方、入力の仕方を理解していなければなりません。この部分は、全員に浸透させるという意味において苦労した点です。現在ではかなりの精度で入力ができていますが、それを実現できたのは「ルールブックの作成と研修」「新人研修の実施」「毎日の朝ミーティングでの確認」「パトロールの実施」を通じて全員に習慣化させることができたからだと思います。

3つめはスケジューリングです。自社では様々な部署が様々なタイミングでHubSpotに入っているリードに対して施策を実行しており、ほぼ毎日何かしらのメール施策が行われている状況です。誰がいつ何をやろうとしているのか、ということと、重複をどう管理するのか、優先順位はどうするのか、それを誰が決定するのかということが課題としてありました。ここについては、専門の施策管理部門を作り、そこがスケジュールを一元的に管理する形式を採用し、1日に何通もメールが送られないような仕組みを作りました。各部署の担当は、何月何日にこんなメールを送りたい、というドラフトを作りその専門部署に連絡することで、専門部署がHubSpot上のメールやフォーム、自動返信メールやワークフローまですべて作成しています。実はこの部分もトライエッジさんに担っていただいています。第三者に依頼することで、各担当者毎のパワーバランスが均衡する、というメリットもあるのではと考えています。

今後のチャレンジ

今後チャレンジしていきたいことも3点考えています。

まず1つめはセグメンテーションです。なかなか馴染みのないニッチな業界なので想像が難しいかもしれないですが、この業界は権利関係が非常に複雑です。在庫の管理が自社か委託か、決裁権を持っているのが物流会社か委託しているメーカーか、決裁権を持っているのが倉庫の現場責任者か本社の施設管理担当者かなど、どういったパターンなのかをセグメンテーションして適切な人に対して適切にアプローチをしていく必要があります。また、倉庫でどういったものを取り扱っているのか、どのくらいの人数で作業しているのかによっても自社製品が適合するかしないかが変わってきます。そういったひとつひとつをしっかりセグメントして、適切なコンテンツで適切なアプローチをしていくことで、より効果的なマーケティングが行えるのではないかと思っております。

2つめはシナリオ設計です。1つめのセグメンテーションとも関わってきますが、これまでの結果から勝ちパターンを分析して、どういった状態の人には次にどのようなコンテンツを届けるとよりポジティブな反応が得られるのか、のようなところは更に突き詰められると思っています。このコンテンツを見た人にはこの動画を、この動画を見た人にはデモンストレーションの案内を…といったようなシナリオがある程度自動化できれば、より少ないリソースで結果を最大化できるのではないかと考えています。

3つめはクロスセルの効率化です。はじめに説明した通り、現在自社では3つの製品を取り扱っています。自動フォークリフトと自動倉庫は今年販売を開始し始めたばかりなので、これから更に市場に対して働きかけていく必要があるのですが、ピッキングアシストロボットを提案している際に得られる情報をもとに「この倉庫であれば別の製品のほうが適合性が高い」というようなことがわかれば、よりセールスも効率的になり場合によっては2つ以上の製品を導入してもらうといったこともありえると思っています。このようなクロスセルについても、マーケティングオートメーションを活用していきたいと考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

MAツールの活用やマーケティングオートメーションは、昨今のマーケティング活動においてなくてはならないものになりつつあります。
MAツールは導入することがゴールではなく、きちんとデータが蓄積されるように設計し、導入してから現場でどう活用していくかが最も重要です。マーケティングオートメーションで仕組みを作り様々な施策を実施していくことで、新規顧客の獲得へ繋がり自社の強みとなっていくことでしょう。

今後のイベント情報はこちらでも配信していきますので、ご興味がある方はメルマガの登録をお待ちしております。
登録フォーム:https://www.crm-agent.biz/media/post_lp/mailmagazine/

なお、株式会社トライエッジでは、HubSpotやZohoを用いたSFA/CRM/MAの導入/運用支援を行っています。システム導入が目標となる通常のサービスとは異なり、導入後の運用からお客様の成果が出るまでを支援する伴走型のサポートです。
導入・活用に関してご相談をご希望される方は、お気軽にお問い合わせください。